認知症の方の現状把握をすることを見守り・観察ケアといいます。
これは認知症の方の日常生活を阻害しないで、目で確認できる範囲で行動を観察します。
介護者間の情報交換や協力が必要です。
介護者が別の介護者に対して現状と今までの観察内容を正確に伝えることが大切です。
情報を伝えることで体の不調などもこの見守りケアからわかることがあります。
ポイントは、「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という情報を共有します。
この情報共有を怠ると、何か問題が起こった時、正確な原因を突き止められないばかりか、どんな症状なのかも見落としてしまいます。
健康管理と関わる事でできるケア
見守り・観察
認知症の方はご自分の体の不具合を言葉で表現できなかったりして
健康管理が難しくなったりします。
そのため一番大切なのは、この健康管理を行うことなのです。
しかし健康でない場合の見極めは難しい場合もありますので、
普段から見守り・観察ケアを通して、認知症の方の状態を把握していきます。
健康状態の把握には、既往歴があるかないか、
何か既往歴があれば検査データなどを参照します。
食事や水分量が足りているか、
排泄したか、
顔色や皮膚の状態がいいか、
服薬、
日常の様子
といった細かい内容になります。
何か通常と違う事があれば担当の医師などにすぐ連絡をとります。
関わること
また関わる事でできるケアがあります。
これはお名前を呼ぶことで敬意を払って介護をしていくことや
質問に対して真摯に答えていくことなどです。
何よりこのように関わる事は、
具体的に認知症の方が何を望んでどのようにしたいのか、
といったことがわからないと関われません。
つまり外からの観察だけでなく、
ありのままの状態を受け入れるには一歩踏み込んで、
認知症の方の気持ちに沿っていくということなのです。
一方的に何かさせようとか話を聞こうとしても、無理なのです。
一緒に行動をしてどんな気持ちなのか、
どんな状態なのかを把握してこそ良いケアができるのです。
尊厳を守るために
最も重要な問題は、認知症の方に対する身体拘束です。
これは人権問題で、ケアがしにくいからといってベルトを装着している例もあります。
認知症だから、判断できないから、通常の行動も制限したり、
プライバシーを守らないといったような人権侵害が多く見受けられます。
しかしたとえ認知症だからといっても、
発症していない人と同じように生活する権利はあるのです。
もちろん介護の現場では大変なことが沢山あります。
しかし正しい介護の知識と認識を持って介護しなければ、この問題はますます大きくなります。
また家庭内や施設で虐待されるケースも多く、
介護者が長年の介護に疲れたり、
経済問題や長年の家族関係などからこのような事が起こることもあります。
いずれにしても尊厳を守るためにも正しい介護をしていきたいものです。