近年、認知症という言葉も広く一般的になりました。
しかし中には、「物忘れが激しくなっただけ」と思われている方も多いでしょう。
確かに、物事を思い出せなくなるのは認知症のひとつの症状です。
だからと言って「最近物を覚えられなくなってきたから、自分はアルツハイマーかもしれない」というのは早計です。
そこで今回は、認知症と加齢による物忘れの根本的な違いについてご説明していきましょう。
物忘れは人間なら当たり前の症状
そもそも物忘れは誰にでも起こり得る症状です。
これは、脳の発達が20歳頃で停止してしまい、あとは小さくなり続けてしまうからです。
脳の縮小が起こると、その分神経細胞の数も減ります。
神経細胞は学ぶ・話すといった働きの他、出来事を記憶するという機能もあるため、
物忘れがはじまってしまうのです。
そのため、40代くらいの方が「物をどこに置いたか忘れてしまった」というのは珍しいことではありません。
もっと言えば、70 代、80代の方が物忘れをするのはごく自然なことであるとも言えるのです。
一方、大きな問題となるのはアルツハイマーなどで知られる認知症です。
これは前述のような正常な脳の老化現象とは違い、あくまでも病気によるもの。
つまり、起こってはいけない症状であると言えます。
次からは、それぞれの症状の違いについて考えていきます。
それぞれの違いと認知症の予防について
加齢による物忘れの場合、忘れてしまうのは一部にすぎません。
たとえば、食事のメニューを忘れる、といった具合です。
さらに、忘れたことに対し自覚があり、日常生活においては支障がそこまでありません。
一方認知症による物忘れは、そもそも食事を取ったこと自体をすべて忘れてしまいます。
当然、食事自体を覚えていないので、自覚もありません。
ここまでくると、日常生活にも大きな支障が出てしまいます。
また、加齢による物忘れの症状の進行はある程度ゆったりとしたペースですが、
認知症の場合には急速に進行する、という特徴があります。
大きく分けるとアルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性、前頭側頭葉型の4つがありますが、
特に早期の段階から物忘れがはじまるのはアルツハイマー型の特徴です。
これを予防するためには、何よりも早期の発見が大切です。
アルツハイマーは薬の服用で進行を遅らせることができますので、
少しでも異変が見つかった場合にはすぐに神経内科や認知症専門病院を受診するようにしましょう。