前頭側頭型認知症は、前頭葉や側頭葉が委縮して起こります。
実はこの認知症は若い人でも発症する認知症です。
頭部の前側にある前頭葉と横にある側頭葉が委縮します。
前頭葉では、物を考える中枢であり、
感情のコントロールや理性的な行動をとったり、
状況把握や生きる意欲を考えたりします。
側頭葉は言葉の理解や記憶、聴覚や嗅覚もコントロールします。
実はこの前頭側頭型認知症は若年性認知症の4%を占め、アルツハイマー型認知症の次に多いのですが、アルツハイマー型と比べて患者数が少ないので、まだ原因が詳しくわかっていません。
物忘れはないものの、異常な行動をとることが多いので精神疾患と誤診されることもあります。
目次
前頭側頭型認知症の症状とは
前頭側頭型認知症の症状にはいくつか特徴的な行動が見られます。
これは認知症の症状とは明らかに異なります。
同じこと(行為)を繰り返す
例えば同じ行動を繰り返したりします。
何度も同じ言葉を繰り返す、決まった行動をとるなどです。
物忘れで時間を何度も聞くのとは異なり、何度も脈略なく同じ行為を繰り返したりします。
徘徊で迷子になる事はあまりありませんが、同じコースを歩いて帰ってきます。
食物へのこだわり
また食に関しては同じメニューを作る、
味覚に異常を感じるほどの甘さ、濃い味を好んだりします。
食欲が旺盛になり、一度に大量の食糧を食べたりします。
また集中力や自発的行動がなくなります。
意欲減退・無関心
最後までやり遂げられない事も多くなり、今まであった興味関心事項が薄れます。
発語障害
言葉がなかなか出なかったり、見たものに影響されやすくなります。
言葉が出ないことで会話の回数が減る、または黙ったままでいることもあります。
身勝手な行動や逸脱行為
そして反社会的な行動が目立つようになったりします。
反社会的な行動とは、ルールは関係なく自分の思うままの行動をとる事です。
場合によっては注意されることで暴力を振るうことがあります。
このコラムの前のコラム部分で、前頭葉と側頭葉の機能に少し触れましたが、
いずれも物を考える中枢部分となる判断力や味覚・聴覚、
言葉といった脳の機能に何らかの問題が起きている事がわかります。
前頭側頭型認知症の方に対する対応とは
前述のコラムでお伝えしたような行動が現れたらまずは強引に止めさせない事です。
何度も手を叩いたり、家と外を行ったり来たり、同じ行動を何度も取ろうとします。
いきなり止めさせると、かえって怒ったり暴力を振るったりすることもあります。
本来ならいち早く異常に気がついて専門医に診てもらうことが大切ですが、
すでに発症してしまっている場合は病気ゆえの行動なので、
犯罪者にされてしまわないようにすることが重要です。
行動を説得して変えるのは難しいので、出来るだけ危険のない行動は見守り、
どうしても危険と思われる行動だけ明確に禁止させます。
このように家族だけでは介護するのが難しいケースが多いので、
長期的に考えて介護サービス等の利用を検討することも大切です。